タイトルを見てピンときた方もいるかもしれない。
今回の旅の目的は――そう、「黒部峡谷トロッコ電車」である。
本来、黒部峡谷トロッコ電車は宇奈月駅から欅平駅までを結ぶ観光路線だ。
しかし、近年の能登半島地震の影響により、現在は猫又駅までの折り返し運行となっている。
この猫又駅、実は普段は工事関係者しか降りられない駅。
つまり、**この時期だけ一般の人が降りられる“幻の駅”**なのだ。
実は私、このトロッコには昨年(2024年)の秋にも乗っている。
そのときも折り返し運行で猫又駅までだったが、2025年も同じ運行形態が続いていると聞き、
「去年の記録を残しておきたい」と思い、この記事を書いている。
宇奈月温泉で過ごす、静かな時
当初の計画は、黒部キャニオンルートをたどり、
宇奈月 → 欅平 → 黒部ダムへと進む予定だった。
しかし、折り返し運行の知らせを聞き、予定を変更。
せっかくなら宇奈月近辺でじっくり過ごす旅に切り替えた。
宇奈月温泉は想像以上に静かで、美しい温泉街だった。
駅前から立ち上る湯けむりや、青々とした山々。
この瞬間を撮り逃すまいと、カメラを構えた。

トロッコに揺られて黒薙駅へ
目的のひとつは風景写真。
赤い鉄橋を渡るトロッコ電車、
青く透き通る川、
そして、山肌を染める緑のコントラスト。
その風景はまるでジオラマのようだった。



電車を降り、途中の黒薙駅で下車。
ここには山奥の温泉があると聞いていた。
舗装された山道を進むうち、空気がひんやりと澄んでいく。
野生のクマとの遭遇
そこで――まさかの出来事。
崖の下に、クマがいたのだ。
距離はわずか4メートルほど。
こちらには気づいていなかったが、
声をひそめて動かずにやり過ごした時間は、まるで永遠のように長かった。
クマが見えなくなった後、
足が震えるのを感じながら、ようやく目的の温泉に到着。
その湯に浸かりながら、
「生きててよかった…」と心から思った。
温泉では、冷えた体がじんわり温まり、
緊張がほどけていくのを感じた。
まさに“命の湯”だった。

喫茶店で一息、そして次の目的地へ
温泉のあとは、宇奈月駅前の喫茶店でひと休み。
静かなBGMとコーヒーの香りが、旅の緊張を溶かしてくれる。


この日は、宇奈月の宿に戻ってゆっくり過ごした。
本命の猫又駅の話は、次の記事で。
(→続く:「幻の駅“猫又”でしか見られない景色」)
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